2024.11.06
「ふるさと」のような里山で癒されて、縄文遺跡で太古の歴史に触れる
北秋田市にある「森のテラス」は、日本の原風景のような里山の風景が広がる魅力的なスポットです。鳥のさえずりに耳を傾けながら散策を楽しみ、ステーキハウスでランチをしたあとは、縄文時代のストーンサークルがある「伊勢堂岱遺跡」へ。1日の終わりには、「縄文の湯」の温泉で疲れを癒やしましょう。
作庭家が年月をかけて造りあげた「こころのふるさと」
阿仁川に沿って国道105号を走ると、「蛍の生息地」と書かれた看板が見えてきます。ここが、作庭家の山田茂雄さんが2005年にオープンさせた「森のテラス」の入口です。
楢岱山の山頂から裾野までの東側の斜面と、麓に広がる田畑・果樹園を含めた26ヘクタールにわたる敷地が、オープンガーデンとして開放されています。園内には、ダリア園やホタル池、ウサギ小屋、キャンプサイト、休憩小屋などが点在し、遊歩道を巡って自由に散策することができます。
(遊歩道の入口)
水路のせせらぎに誘われるように遊歩道を歩いていくと、ダリア園が見えてきます。山田さんが丹精込めて育てるダリアの花は、8月から10月中旬ごろまで色鮮やかに咲き誇り、訪れる人の目を楽しませてくれます。
(約250株、130種類のダリアが植えられています)
遊歩道をさらに進むと、ホタル池があります。側に白壁の「ほたる堂」があり、夏の夜にはホタルが舞い飛ぶ様子を観賞することができます。ホタルのいない時期や昼間でも、楽しませてくれる工夫が凝らされていて、真四角に切り取られた小屋の入り口から中を覗くと、そこにはまるで絵画のような景色が広がっていました。
(白壁のホタル観賞小屋「ほたる堂」)
(ほたる堂の内部には、鏡のようなきれいな水面が。カターンと鳴る鹿威しの涼やかな音が響きます)
この素敵な空間をたっぷり楽しむことができるよう、中には椅子が並べられています。そよ風が通り抜けると水面にさざなみが立ち、写り込む木々も揺らぎ、魅了される空間です。
さらに奥へ、山の麓へと進んでいく
(遊歩道には、手入れされた草花やオブジェがアクセントとして配置されています)
山や田んぼ、畑が広がる野趣あふれる風景と、園内のそこここに飾られているお洒落なアクセントが、絶妙な美しさを造り出しています。目で見て楽しく、耳には鳥の声やせせらぎの音が心地よく流れ込み、歩いているだけで全身が癒やされていくのを感じます。
(「モネの池」には睡蓮が咲いています)
遊歩道を奥まで進むと、休憩小屋がありました。ひと休みしようと扉を開けてみると、ここにもくつろぎの空間が。
(さまざまな形の椅子が置かれ、思い思いの姿勢で休むことができます)
山田さんは、訪れる人がホッとするような「こころのふるさと」を目指して、森のテラスを造りました。「生まれ育った森吉の集落はダムの底に沈んでしまいましたが、心の中には常に故郷の里山がありました」と山田さん。
訪れる人にとっての「ふるさと」になるように、年月をかけて、多様な生き物が生息する豊かな里山を造りあげました。生態系を守るため、森のテラスで作るお米や野菜、果物は、化学肥料や農薬を使わずに育てています。
(環境汚染の影響を一番受けるのは水。森のテラスの中にある湧き水は、正真正銘のきれいな水です)
ステーキハウスで優雅なひとときを
ランチは、敷地内にある「ステーキハウス」へ。緑いっぱいの景色を見ながら、赤石肉(あかいしにく)のステーキや、和牛入りハンバーグなどを味わうことができます。鉄板で自分で焼いて食べるスタイルです。
ステーキハウスがオープンしたのは2022年。「肉食文化の成長に伴って、人間が飼育する家畜の数は急激に増え、地球環境にかかる負荷も増え続けています。そのことを考えるきっかけになれば」という山田さんの想いがこめられています。
(和牛入りハンバーグステーキ 1,200円。サラダバー、スープ、デザート付き)
中火で温めた鉄板に少量のバターを塗り、ハンバーグと野菜を好みの加減に焼いて、いただきます。ハンバーグはとても柔らかく、添えられた醤油と塩、どちらにもよく合います。この日のサラダバーには、園内の畑で取れたキュウリも入っていました。大きな窓から美しい風景を眺めながら、ゆったりとした時間が流れます
【森のテラス】
秋田県北秋田市桂瀬字楢岱22
TEL/0186-67-6295(8:00〜17:00。月曜定休)
営業時間/8:00〜17:00。
定休日/年中無休。
入場料/無料(任意で環境維持協力金200円)
駐車場/約15台
https://www.moriyoshi-morinoterrace.com/
【ステーキハウス】
TEL/080-8744-9625
営業時間/11:30〜14:00(最終入店13:30)、17:30〜21:00(最終入店19:00)
定休日/月曜日
高台のストーンサークルで、縄文時代に想いをはせる
(縄文の土の色をイメージした「伊勢堂岱縄文館」)
森のテラスから車で20分ほど走り、伊勢堂岱遺跡へ。縄文時代は、今からおよそ1万5千年前に始まり、1万年以上続いたとされています。この遺跡は、大館能代空港アクセス道路を建設する際の調査で発見されました。その後の発掘調査で縄文土器や石器が出土し、環状列石や溝状遺構(幅約1メートル、深さ約1メートルの溝)なども見つかりました。
(展示室には、出土した土器がずらりと並んでいます)
遺跡のある高台へ向かう途中に「縄文の森」があります。縄文時代にはクリやナラなどの広葉樹がたくさん生えていて、縄文人は、土器を使ってドングリやクルミを調理して食べていたようです。
(縄文時代の森を再現した「縄文の森」)
(縄文の森を抜けると、見晴らしの良い高台に出ます)
伊勢堂岱遺跡には大小4つのストーンサークルがあり、一番大きいものは直径約32m。ここから5km以内の河原から石を運んできて、200年ほどかけて作られたと考えられています。
(赤いものから緑がかったものまで、さまざまな色合いの石があります)
ストーンサークルは、人々が集まって祭祀を行う場所だったと言われています。1万年以上も続いた縄文時代は穏やかな時代だったのではないかと想像されていますが、自然災害や病気など、抗うことのできない事態もあったことでしょう。大地の加護を願い、皆で力を合わせて乗り切ろうと、ここで祈りを捧げていたのかもしれません。
【伊勢堂岱遺跡】
北秋田市脇神字伊勢堂岱
TEL/0186-84-8710(伊勢堂岱縄文館)
営業時間/9:00〜16:30(伊勢堂岱縄文館は17:00まで)
定休日/月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)、遺跡の公開は4月下旬〜10月末日
駐車場/100台
https://www.city.kitaakita.akita.jp/isedotai
「縄文の湯」で体もぽかぽか
(遺跡から「縄文の湯」までは車で5分)
1日の終わりには、「縄文の湯」で疲れを癒やしましょう。お湯は、100%源泉掛け流し。体がぽかぽか温まり、疲れもよく取れると評判です。泉質が良いため、湯治目的で遠方から訪れる人もいるのだそう。
(湯口は、伊勢堂岱遺跡の土偶をイメージしています)
(解放的な露天風呂)
加熱した鉱石の上に寝ることで、遠赤外線の効果で発汗を促す「岩盤浴」も人気です。体を芯から温め、体内の老廃物や酸化した皮脂を排出することで、健康や美容への効果があると言われています。パワーストーンとしても有名な「翠石」、免疫力を高めると言われる「祖母聖光石」、ミネラル分が豊富な「黄土石」のほか、「チェジュスコリア」「玄武火山岩」「木紋石」の6種から好きな鉱石を選んで岩盤浴をすることができます。(岩盤浴は事前予約制)
(入浴前に十分に水分をとり、うつ伏せ・仰向け・休憩を繰り返します)
【縄文の湯】
北秋田市脇神字平崎川戸沼86-2
TEL/0186-63-2626
営業時間/日帰り入浴 10:00〜19:30(最終入館19:00)
定休日/年中無休
駐車場/50台
https://www.jomonnoyu.com/
北秋田の大地で豊かな自然に癒やされ、太古の時代に想いをはせ、温泉につかってリフレッシュ。そんなゆったりとした秋の1日を過ごしてみませんか。