2025.08.04

西馬音内盆踊りと地域の味覚を巡る〜国の重要文化財に出会う羽後町の夏

約700年の歴史を持つ西馬音内盆踊りは、羽後町の夜を風雅に彩る夏の風物詩。あたたかな灯りに浮かぶ幻想的な踊りは、見る人の心をゆさぶります。今回は、そんな西馬音内盆踊りの魅力を感じられるスポットをはじめ、羽後町ならではの文化や食の魅力をご紹介します。

夢幻の世界へ誘う、約700年の伝統芸能

毎年8月16日から18日の3日間、羽後町西馬音内の本町通りで開催される西馬音内盆踊り。長い年月をかけて育まれてきた伝統の祭りで、昭和56年には国の重要無形民俗文化財に指定されています。

祭りの期間中は、地域の人々や訪れた観光客が一体となって踊りの輪を作り、夏の夜を美しく彩ります。夕刻19時30分、篝火(かがりび)が灯されると寄せ太鼓の囃子が響き渡り、幻想的な夜の盆踊りがスタート。編み笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り手たちは、あでやかな端縫いや藍染めの衣装をまとい、優雅に舞う姿は観る人を魅了します。

踊りは「音頭」と「がんけ」の2種類。野性的な囃子に対し、しなやかで流れるような上方風の美しい踊りが織り成す対照美が最大の特徴です。特に「がんけ」は亡者踊りの側面を持ち、哀調漂う甚句の歌詞が祖霊への想いを表現しています。

夜が更けるにつれて踊りの輪が広がり、篝火に照らされた踊り手の影が古い町並みに揺らめく光景は、観る人を時を超えた夢幻の世界へと誘い込みます。

明治の俳人・河東碧梧桐も「初めて、絵になる盆踊りを見た」と記したこの美しい光景を、ぜひ間近でご覧ください。大人の踊り手は21時以降に揃うため、より本格的な踊りを楽しみたい方は遅めの時間がおすすめです。

【西馬音内盆踊り実行委員会事務局】
秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字中野177
TEL/0183-55-8557
営業時間/9:00〜17:00(月〜金曜・土日祝を除く9月末まで)

伝統と現代が織りなす、新感覚の文化交流施設

西馬音内盆踊り会場からすぐの場所に、2025年4月に誕生した「盆宿U」。180年以上の歴史を持つ、旧柴与家をリノベーションした宿泊できる文化交流施設です。施設名の「U」には、西馬音内盆踊りの「幽玄」、人との繋がりを意味する「結」、心のままに楽しむ「遊」という3つの想いが込められています。

(2025年5月に開催されたオープニングイベント。写真提供:盆宿U)

建物全体に盆踊りの世界観がちりばめられ、宿泊しながら伝統文化に触れられるのが醍醐味です。客室は4タイプあり、「端縫い」をテーマにしたメゾネットルームでは、各家庭で大切に受け継がれてきた絹布を縫い合わせた端縫い衣装を展示しています。

(藍染めがテーマのメゾネットルーム)

ひとり旅には、ドミトリールームがおすすめ。ダイナミックな梁を臨むことができる吹き抜けのボックスタイプと、二段ベッドになっているバンクタイプの2種類から選ぶことができます。

(バンクドミトリールーム)

客室での滞在だけでなく、館内にはユニークな体験ができる設備も整っています。注目は西馬音内盆踊りの世界に没入できるサウナ施設。お囃子が流れる室内で編笠と藍染め浴衣をモチーフにしたサウナハットとウェアを身につけ、盆踊り期間中に振る舞われた銘酒「若返り」の仕込み水と同じ地下水を使った水風呂でととのうという、まさに非日常の体験ができます。

(フィンランド式のセルフロウリュ)

かつての米蔵はカフェ&バーを併設したパブリックラウンジに。宿泊者以外も利用できる地域と旅人をつなぐ開かれた空間です。

(パブリックラウンジ)

盆踊り期間中は、合間の休憩スポットとしても最適。伝統の祭りをより深く味わえる拠点として、ぜひご利用ください。

※西馬音内盆踊り期間中は、プレミアム観覧体験付き宿泊プランを先着順でご案内しています。詳しくはHPをご覧ください。

【盆宿U】
秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字本町47番地
TEL/0183-56-7615
定休日/水・木曜(パブリックラウンジ・サウナ)
HP
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羽後の恵みと伝統が息づく、食の楽園

西馬音内盆踊りの踊り手が着用する伝統的な衣装から名付けられた道の駅うご「端縫いの郷」は、盆踊りの藍染め衣装をイメージした外観が特徴です。

農産物直売所では、ブランド野菜や果物、お米はもちろん、地元のお母さんたちが受け継いできた秘伝レシピのお惣菜や田舎菓子まで揃う豊富なラインナップ。オリジナルの五葉豆きなこや日本酒などの特産品が豊富にあるので、お土産にもおすすめです。

また、館内には3つの食事処があり、名物の西馬音内そばや黒毛和牛羽後牛の焼き肉丼など、羽後町ならではのごちそうを楽しめます。
「端縫いダイニング」の「冷やがけそば」は、つなぎに布海苔を使ったコシの強い麺が特徴です。冷たいつゆをかけて食べるのが、西馬音内そばの代表的なスタイルです。


(冷やがけそば並)

暑い日にぴったりなのが、「うご・じぇら」の特製ジェラート。羽後町産の搾りたて生乳や五葉豆豆乳を使い、濃厚なのに後味さっぱり。季節限定フレーバーや地元食材とのコラボメニューが毎月登場し、訪れるたび新たな味に出会えます。
また、併設の「Bon Cafe」では、モーニングセットやランチはもちろん、自家製スイーツ、季節のドリンクも楽しめます。

(ジェラートダブル/はさかけ米&枝豆、アイス五葉豆ラテ)

地元の恵みを味わいながら過ごすひとときが、幻想的な羽後町での体験をさらに特別なものにしてくれます。ぜひ五感で楽しんでみてください。

【道の駅うご「端縫いの郷」】
秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字中野200
TEL/0183-56-6128
営業時間/
・農産物直売所/9:00~18:00(冬期:9:00~17:00)
・端縫いダイニング/11:00~
 平日ラストオーダー16:00(冬期:15:00)
 土日祝ラストオーダー16:30(冬期:16:00)
・Bon Café/9:00~ラストオーダー16:00
・うご・じぇら/10:00~17:00(冬期:平日~16:00/土日祝~17:00)
定休日/1月1日
※冬期期間:11月15日~4月14日

⚫︎盆踊り期間中の営業時間
・農産物直売所/9:00~18:30
・端縫いダイニング/11:00~ラストオーダー17:30
・Bon Café/8:00~ラストオーダー16:30
・うご・じぇら/10:00~18:30

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