2024.06.12

初夏の小坂町で明治〜昭和にタイムスリップ。そのあとはカフェで鳥と触れあおう

明治時代、日本一の銅山として栄えていた小坂鉱山。鉱山の従業員や家族のために小坂町は県内でいち早くインフラが整い、芝居小屋などの娯楽施設も建てられて大いに賑わっていました。当時の風情が色濃く残る町並みを散策し、カフェでかわいいフクロウやインコに癒やされるお出かけコースをご紹介します。

旧小坂駅を丸ごとテーマパークに。「小坂鉄道レールパーク」

(明治42(1907)年に建築された小坂駅舎は、国登録有形文化財に指定されています)

明治の中ごろ、鉱山額が日本一を誇った小坂鉱山では多くの人が働いていました。人々の移動や鉱石などの物資を運ぶ手段として活躍していたのが、小坂―大館間を結ぶ小坂鉄道です。2009年に廃線となるまで約100年もの間、重要なインフラとして地域を支えてきました。その歴史を学びつつ、廃線ならではの珍しい鉄道体験を満喫できるテーマパークとして、2014年にオープンしたのが「小坂鉄道レールパーク」です。

(受付で懐かしい紙の硬券を受け取り、改札口でパチンとハサミを入れてもらって入場します)

非日常感たっぷりの鉄道体験

構内では、自転車をこぐようにして線路を走るレールバイク、ガタンゴトンとゆっくり走る観光トロッコなどに乗って楽しむことができます。線路上を移動する間、構内に停車している機関車や客車の姿を間近に眺められるのも大きな魅力。いずれも昭和の頃に活躍していた車両で、貴重な文化遺産として価値のあるものです。

(ガタゴトと、線路の音が心地よいレールバイク)

(作業車が観光トロッコを牽引し、駅から500メートルほどの線路を往復します)

大きな機関車がずらりと並ぶ機関車庫では、車体に触れたり、運転席に座ったりすることができます。庫内にオイルの匂いが漂っているのは、定期的に整備して車両を動かす「動態保存」をしているからです。全国的には、「静態保存」(動かさない状態)で展示する施設が多い中、このように動態保存をしているのはとても珍しいのだそう。資料室もあり、貴重な資料がたくさん展示されています。

(昭和40年台に製造された「DD130形ディーゼル機関車」)

(運転席に座って、運転士気分を味わうのも楽しい)

「ブルートレインあけぼの」の宿泊が復活

今年、5年ぶりに「ブルートレインあけぼの」が車体の塗装と補修を終えて復活しました。昭和から平成にかけて40年以上、秋田・青森―東京間を走っていた寝台特急に、思い出のある人も多いのではないでしょうか。内部の材質は昔のまま。匂いや空気感など、まさに昭和の寝台車そのものです。小坂町を散策したあとは、「あけぼの」に一泊するのもお勧めです。


(宿泊者の休憩・飲食スペースとして開放されているB寝台開放。日中は一般入園者も見学できます)

【小坂鉄道レールパーク】
秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字古川20-9
TEL/0186-25-8890(ブルートレインあけぼの宿泊予約専用TEL/0186-29-3890、予約受付時間9:30〜16:00)
営業時間/9:00〜17:00(入場は16:30まで)
営業期間/4月1日~11月23日
定休日/営業期間中は無休。毎週火・水曜日は乗物(レールバイク・観光トロッコ)休止
入場料/大人600円、小中学生300円、幼児無料(体験料金は別途)
http://kosaka-rp.com/

赤レンガが映える「明治百年通り」を散策

(旧小坂駅からまっすぐ延びる「明治百年通り」)

小坂鉱山が最盛期を迎えていた時代からある明治百年通り。数々の貴重な近代建築物が、当時の姿のまま残されています。鉱山従業員のための福利厚生施設として建てられた芝居小屋「康楽館」。従業員の子どもたちの幼児教育施設だった「天使館」。外観はルネッサンス様式、バルコニーはイスラム様式との説もあり、明治近代建築の最高傑作とも言われる「小坂鉱山事務所」。木立の下に整備された遊歩道を散策しながら、歴史ある建物を巡ってみましょう

(5月下旬〜6月にかけてはアカシアの花の甘い香りが漂う遊歩道)

(明治の芝居小屋「康楽館」。今もさまざまな芝居や歌舞伎が公演されています)

(小坂鉱山事務所の2階バルコニー。外観がルネッサンス風なのに対し、このポーチ付きバルコニーはイスラム風とも言われています)

小坂鉄道レールパーク、康楽館、小坂鉱山事務所のお得な三館共通入館券もあります。じっくり見学したい方は、小坂鉄道レールパークでお求めください。

【小坂鉱山事務所】
鹿角郡小坂町小坂鉱山字古館48-2
TEL/0186-29-5522
営業時間/(4月〜10月)9:00〜17:00、(11月〜3月)9:00〜16:00
休館日/年末年始
入館料/大人380円、小中学生200円
http://kosaka-mco.com/publics/index/46/

【康楽館】
秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下2番地
TEL/0186-29-3732
営業時間/(4月〜10月)9:00〜17:00、(11月〜3月)9:00〜16:00
休館日/年末年始
見学料/大人700円、小中学生350円
http://kosaka-mco.com/publics/index/51/

「cafeふれあいtorikago(トリカゴ)」で、かわいい鳥たちに癒やされる

(カフェ周辺は、畑や田んぼが多いのどかなところです)

小坂町の中心部から10分ほど車を走らせて、「cafeふれあいtorikago」へ。鳥の大好きなオーナーさんが2022年の夏にオープンしたカフェで、5羽のフクロウと約20羽のインコがかわいらしい姿を見せてくれます。ドアを開けると、さっそく小柄なフクロウがお出迎え。店内には、カフェスペースを間に挟んでフクロウの部屋とインコの部屋があります。

(出迎えてくれたのは、体長15センチほどの小柄なアナホリフクロウ・エルサ)

(フクロウの部屋にいるベンガルミミズクのカシュー(手前)とアフリカワシミミズクのカカオ(奥))

大きな体のフクロウたちは、どっしり落ち着いた雰囲気で来訪者をじっと見つめます。反対側の部屋にいるインコたちは、忙しなく飛び回りながらピッピ、チッチととても賑やか。あっという間に4羽・5羽と飛んできて手や肩の上に止まります。

(とても人懐こいウロコインコたち)

鳥たちに見つめられながらランチタイム

カフェメニューにはスパゲティ、ナンピザなどの軽食、パフェやパンケーキなどのスイーツ、各種ドリンクがあり、今回は「スパゲティナポリタン(600円)」と夏らしいドリンク「ナタデココレモン」を注文。ランチを食べていると、目の前の窓越しに入れ替わり立ち替わりインコがやってきます。

(窓の向こうから「美味しそうだな〜」とばかりに見つめてくるインコ)

(この春生まれた2羽の赤ちゃんインコが、オーナーさんと一緒に飛ぶ練習をしていました)

鳥たちの仕草がとってもかわいくて、あっという間に時間が過ぎていきます。「営業時間いっぱい、ゆっくりしていってくださいね」というオーナーさんの言葉に甘え、思う存分ふれあい、癒やされました。アカシア香る初夏の小坂町で、日常を離れて思いきりリフレッシュしてみませんか。

【cafeふれあいtorikago】
秋田県鹿角郡小坂町荒谷字妻ノ神5-2
TEL/090-4311-5660
営業時間/(4月〜9月)11:00〜18:00、(10月〜11月)11:00〜17:00、(12月〜3月)12:00〜17:00
定休日/水曜日
利用料(ふれあい+ワンドリンク)大人平日1,000円、土日祝日1,100円(フードメニューは別途)
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