2022.12.23
幻想的な氷瀑の風景に心洗われる、県北・鹿角の冬の旅
鹿角市大湯から十和田湖に向かう国道103号沿いには、大小の名瀑が点在しています。寒さ厳しい冬には滝の一部が凍りつき、周辺の雪景色と相まって幻想的な風景を生み出します。「中滝ふるさと学舎」でスノーシューをレンタルして氷瀑を巡り、「森のcafeこもれび」で地元グルメを味わい、大湯温泉郷で体の芯からポカポカになる、鹿角の冬の旅をご紹介します。
大湯川の渓流沿いにある「中滝ふるさと学舎」
(大自然の中にたたずむ昔懐かしい小学校の校舎)
大湯川沿いに建つ「中滝ふるさと学舎」は、2008年に閉校した旧中滝小学校の校舎をそのまま活用した交流体験の拠点施設。施設内には、ランチやお茶をしながらくつろげる「森のcafeこもれび」や「森の暖話室」があり、「森の工房」ではクラフト作りを楽しんだり、石窯でピザを焼いたりといった体験活動もできます。この施設でスノーシューをレンタルして、周辺の氷瀑巡りに出かけてみましょう(レンタル料金は要問合せ。ガイドを頼む場合は、1週間前までに要予約)。
【中滝ふるさと学舎】
秋田県鹿角市十和田大湯字白沢45-1
TEL 0186-30-4021
営業時間 10:00〜16:00(冬季)
休館日 月曜・木曜(祝祭日の場合は翌日)、年末年始
HP https://nakataki.kazuno-furusato.jp/
駐車場 20台
江戸時代の紀行家・菅江真澄も訪れた「銚子の滝」
(駐車スペースの正面に、大迫力の滝を望むことができます。写真提供:秋田県鹿角地域振興局)
垂直に切り立つ岩肌をかき分けるように流れる「銚子の滝」は、落差18メートル。滝の上部が銚子の口の形をしていたことから「銚子の滝」と名付けられました。現在は岩が欠けており、当時の姿を見ることはできません。その日の水量で大きく姿を変え、特に水量の多い日は迫力満点。「銚子の滝」の真正面に駐車スペースがあるので、ここで車を降り、スノーシューを履いて上流に向かいます。
神秘的な氷の世界「湯の又の滝」
(玉すだれのような「湯の又の滝」。写真提供:秋田県鹿角地域振興局)
10メートルという広い幅で均等に流れ落ちる「湯の又の滝」は、寒い日には細いすだれ状に凍りつき、何ともいえない神秘的な姿を見せてくれます。しんと静まり返った冬の森で、青白く透明感のある氷の世界をさらさらと流れ落ちる滝の音―。その幻想的な情景に時を忘れて見入ってしまいます。
ダイナミックな氷の柱「錦見の滝」
(秋の紅葉の美しさから名付けられた「錦見の滝」。写真提供:秋田県鹿角地域振興局)
板状の岩肌の上を幾重にも段を作りながら流れ落ちる、落差10.8メートル、幅12.5メートルの「錦見の滝」。厳寒期には、滝の形そのままに凍りついた氷の柱を見ることができます。氷の内側を、霧のように細かい飛沫をあげて水が流れる様は、鹿角の厳しい冬だからこその光景。気温や天候で氷の大きさが変わり、さまざまな表情を見せてくれるのも魅力です。
下流にある「中滝」と「止滝」
(中滝ふるさと学舎のすぐ近くにある「中滝」。写真提供:秋田県鹿角地域振興局)
再び車に乗って国道103号に戻り、下流にある「中滝」へ。国道のすぐ近くにあるこの滝は、落差11.8メートルで、なだらかな岩の上を曲線を描くようにして流れ落ちる優しい雰囲気の滝です。国道からも見えますが、駐車スペースに車を停めて滝の近くまで行ってみましょう。心地よい川のせせらぎに癒やされます。
(「止滝」の滝壺のそばには、「止滝神社」があります。写真提供:秋田県鹿角地域振興局)
さらに下流にある「止滝」は、勢いよく滝壺に流れ込む迫力のある滝。狭い滝壺に向かって流れ落ちるため、落差は8メートルですがダイナミックな激しさを感じさせます。遊歩道があるので、歩いて滝へ近づくことができます。
それぞれに違う表情を見せる5つの氷瀑
(動画提供:秋田県鹿角地域振興局)
氷の状態は気温や天候によって変わります。見頃は1月下旬〜2月。
【十和田八幡平観光物産協会】
秋田県鹿角市花輪字新田町11-4
TEL 0186-23-2019
HP https://www.ink.or.jp/~kankou18/nature_oyu.html
森のcafeこもれび」で、鹿角グルメを味わう
(中滝ふるさと学舎内にある「森のcafeこもれび」)
半日かけて氷瀑を巡ったあとは「中滝ふるさと学舎」の「森のcafeこもれび」でランチタイム。ここでは、周辺で採れる山菜や敷地内で育てた野菜、かづの短角牛、八幡平ポーク、比内地鶏といった地元の特産品を味わうことができます。鹿角の食材をぜいたくに味わい尽くす「中滝御膳」や「こもれび弁当」のほか、かづの短角牛をたっぷり170g使用した「かづの牛ハンバーグセット」、比内地鶏のもも肉と卵を使った「比内地鶏親子丼」などが人気。シェフ手作りのドレッシングとソースが、食材の味を引き立てます。(中滝御膳、こもれび弁当は2日前までに要予約)
(ジューシーなハンバーグをおろしポン酢で味わう「かづの牛ハンバーグセット」。写真提供:中滝ふるさと学舎)
(八寸、季節の山菜天ぷら、焼き魚、ご飯、汁物、サラダ、デザートが付いた「中滝御膳」)
【森のcafeこもれび】
秋田県鹿角市十和田大湯字白沢45-1 中滝ふるさと学舎内
TEL 0186-30-4021
営業時間 11:00〜15:00(冬季)
休館日 月曜・木曜(祝祭日の場合は翌日)、年末年始
HP https://nakataki.kazuno-furusato.jp/https://nakataki.kazuno-furusato.jp/cafe.html
駐車場 20台
約800年の歴史を持つ名湯・大湯温泉郷
(大湯川沿いに温泉が湧き出す大湯温泉郷)
ランチのあとは温泉でまったりしませんか。約800年前に開かれたとされる大湯温泉郷は、大湯川のほとりから豊富な湯量の温泉が湧き出す名湯です。疲れや傷を癒やす効能があることから、江戸時代には南部藩主の保養温泉地に指定されていました。大湯川に沿って「荒瀬共同浴場」「上の湯共同浴場」「下の湯共同浴場」「川原の湯共同浴場」と共同浴場が4つあり、周辺には数々の温泉旅館が立ち並びます。
昔の温泉小屋の風情を色濃く残す共同浴場
(傷を癒しに来た熊が腰かけて休んだとされる大きな石があることから、別名「熊の湯」と呼ばれる「荒瀬の湯」)
4つの共同浴場はそれぞれに泉質も湯温も異なるのが特徴で、地元の人たちは好みの湯に毎日のように通うとか。共同浴場の床や浴槽には、保温性が高く、濡れても滑りづらい「十和田石」が使われています。湯温が一番高いのは「荒瀬の湯共同浴場」で、「この熱さでないと入った気がしない」と言う常連さんもいるそう。共同浴場は全て、入り口で券を購入して番台に出すという昔ながらの方式で、シャワーもタオルもアメニティもありません。純粋に温泉を満喫しましょう。
(荒瀬共同浴場の浴槽の下からは、フツフツと源泉が湧き出しています)
【荒瀬共同浴場】
秋田県鹿角市十和田大湯荒瀬25-3
TEL 0186-37-3055(大湯地区温泉組合)
営業時間 6:00〜21:00
定休日 毎月第1木曜
入浴料 200円
駐車場 10台
【川原の湯共同浴場】
秋田県鹿角市十和田大湯字川原ノ湯37-2
TEL 0186-37-3055(大湯地区温泉組合)
営業時間 6:00〜21:00
定休日 毎月第2木曜
入浴料 200円
駐車場 なし
【下の湯共同浴場】
秋田県鹿角市十和田大湯字下ノ湯13-1
TEL 0186-37-3055(大湯地区温泉組合)
営業時間 6:00〜21:00
定休日 毎月第3木曜
入浴料 200円
駐車場 2台
【上の湯共同浴場】
秋田県鹿角市十和田大湯上ノ湯27-9
TEL 0186-37-3055(大湯地区温泉組合)
営業時間 6:00〜21:00
定休日 毎月第4木曜
入浴料 200円
駐車場 なし
駐車場 10台
露天風呂のある温泉宿で、ゆったりと疲れを癒す
(情緒あふれる和風庭園の風景を楽しめる庭園付き露天風呂。写真提供:岡部荘)
「旅館 岡部荘」は敷地内に5つの源泉があり、旅館内で湯巡りを楽しめるのが魅力の宿です。全ての浴槽が源泉掛け流しで、24時間入浴することができます(清掃時間を除く)。四季折々の風情を満喫できる「庭園付き露天風呂」、大湯川のせせらぎに癒やされる「渓流露天風呂」のほか、約20坪の庭園の景色を独り占めできる「貸切露天風呂」など、時間を気にせずゆっくりお湯に浸かって疲れを癒しましょう。
【旅館 岡部荘】
秋田県鹿角市十和田大湯字上ノ湯1-1
TEL 0186-37-2245
チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
HP https://okabesou.jp/
駐車場 20台